CT検査
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CT検査
CT(Computed Tomography)はX線を身体の360°の方向から照射し,様々な方向から体内を確認できる検査です。
また造影剤を用いるCT検査を追加することにより、レントゲン検査や超音波検査だけでは分からない病態の診断や手術に必要な情報を的確に把握できます。
CT検査はレントゲンのように一瞬で終わるものではありません。
その間、動物はじっとしていることができないので、全身麻酔が必要になります。安全な麻酔のために当日は絶食絶水でご来院いただくようお願いします。
費用
単純CT検査33,000円(税込)
追加造影CT検査 追加料金5,500円(税込)~(体重に応じて)
別途術前検査、全身麻酔費用などの諸費用がかかります。
CT検査をご希望の方へ
他の病院からのご紹介の場合や、CT検査をご希望される方はお電話でご予約を受け付けています。
午前中の診療時間中に来院可能な場合は、当日の検査も可能な場合がありますのでお電話にてお問い合わせください。
無麻酔CT
当院では無麻酔CTを導入しており、今までは麻酔が必要だったCT検査が麻酔なしで行えます。麻酔がかけられなかった高齢の子や、腫瘍の転移確認で毎回麻酔が必要だった子など、麻酔に対してリスクがある子に対しても検査が行えます。
動物を専用の固定具を使い、麻酔なしでCT検査を行います。そのため、麻酔のリスクが高い基礎疾患を持った子や高齢の子でもCT撮影が可能です。
ただし、使用する固定具の関係により、中~大型犬(15kg以上)は適応できません。また、小型犬や猫の場合でも性格により適用できない場合があります。また、呼吸を止めずに検査を行うので、麻酔下での検査に比べて診断の精度は落ちる可能性があります。
症例により無麻酔CTを利用できない場合や、従来の麻酔を用いたCT検査の方が有効な場合がありますので、詳しくはスタッフまでお問い合わせください。
CT検査が有効な病気
CT検査で分かる異常は多岐にわたります。脳・肺・腹部臓器・骨などにおいて、腫瘍の浸潤範囲や転移の確認などに威力を発揮します。
腫瘍以外でも、その他の検査で原因のはっきりしない胸腔・腹腔内の異常、手術前の精密検査(骨折・消化管内異物など)、呼吸器症状、顔面の腫脹、意識障害、四肢麻痺などの際にCTが有用です。
頭部
水頭症 | 外耳炎・中耳炎 | 歯科疾患 |
腫瘍 (脳・鼻腔・口腔・眼窩) |
骨折 | 脳障害 |
意識障害 | 顔面の腫れ |
胸部
腫瘍 (肺・腫瘍の肺転移) |
肺葉捻転 | 気管虚脱 |
骨折 |
脊椎・脊髄
椎間板ヘルニア | 腫瘍 | 骨折 |
腹部
腫瘍 (肝臓・腎臓・脾臓・膵臓・副腎・膀胱・腸・リンパ節) |
門脈シャント | 結石 (腎臓・膀胱・尿管) |
異物 | 腸閉塞・重積 | 捻転(胃・腸・脾臓) |
骨折 |
症例のご紹介
随時アップしていきます。
髄膜腫
犬の脳腫瘍の中で最も多く脳幹や小脳よりも大脳に発生することが多いです。10歳以上の高齢で多く短頭種で好発します。局所浸潤を起こし転移は稀な腫瘍です。
主な症状
痙攣発作が最も多い症状で、性格の変化や運動機能の異常を主訴に来院されるケースもあります。
診断
脳腫瘍が疑われた場合には、血液検査や尿検査によって神経症状が代謝異常に起因するものではないことを確認。確定診断にはCT検査やMRI検査などの画像診断および針生検や組織検査が必要になります。
治療
外科手術および放射線療法が第一選択にはなりますが、腫瘍の場所や状態により適応できないケースもあります。髄膜腫の場合、化学療法は効果を示さないケースが多いですが、中には著効するケースもあります。代替療法としてICGリポソームを用いたレーザー療法なども近年行われています。
症例
当院で組織検査を目的に減容積手術を行った症例です。
尿管結石
尿中に結晶が析出し、その結晶が沈殿しできたものが尿石と呼ばれるものです。
尿管結石症とは腎臓に存在していた結石が尿管内に移動し、尿管内で閉塞を起こす疾患です。これらの結石が閉塞を起こし、排尿ができなくなると、急性腎不全や尿毒症を起こし、最悪の場合は死に至る場合もあります。
主な症状
排尿困難、食欲不振、嘔吐、痙攣などがあります。
診断
血液検査による腎数値の上昇、カリウムの上昇などが認められます。確定診断はレントゲン検査、エコー検査、CT検査による尿管内の結石や腎盂・尿管の拡張の確認を行います。
治療
外科手術による膀胱・尿管結石の摘出を行います。尿管の結石が複数ある場合など結石の摘出が難しい場合は尿管移設、SUBシステム(人工尿管)の設置などが適応となります。
症例
当院で過去に腎摘出を行った症例で、残された腎臓の尿管に3つの結石が認められました。すべてを取り切ることは不可能と判断し、SUBシステムによる人工尿管を設置しました。
腎芽種
腎臓に片側に先天的に生じる腫瘍で、しばしば非常に大きくなります。腫瘍の発生は稀ですが、若齢犬での報告が多く、雄犬での発生が多いと考えられています。また、先天性ではありますが、遺伝性である証拠はありません。しかし、純血種での発生が多く認められています。
腫瘍に続発して、多血症や脊髄転移にともなう不全麻痺などの症状が現れることも報告されています。
局所浸潤性が強いこと、多くで肝臓や肺、腸間膜、骨などに転移が起こることが報告されています。
主な症状
血尿が出る可能性もありますが、多くはお腹の膨満で気付かれます。
診断
血液検査にて異常が認められることは少なく、多くは超音波検査などを行った際に見つかります。さらに詳しく見るために、レントゲン検査やCT検査を行うと同時に組織生検を行っていきます。
治療
外科手術による腫瘍化した腎臓の摘出手術を行います。しかし、肺やその他の臓器や骨に転移している場合など、外科手術が適応不可の場合や外科手術と併用して、抗癌剤や放射線療法を行っていきます。
症例
当院で腹部超音波検査を行った際に腹腔内に腫瘍性病変を疑われた症例です。CT検査および病理検査により腫瘍であると考えられたこと、肺などに明らかな転移が認められなかったことから腎臓摘出を行いました。
精巣腫瘍
未去勢の雄犬で2番目に発生率が高いと言われている腫瘍です。
腫瘍が過剰に分泌したホルモンにより脱毛、雌性化、骨髄抑制による貧血などの症状が起こることがあります。
また、腹腔内に精巣が残っている潜在精巣の場合は腫瘍の発生率がかなり高くなる、発見が遅くなるため早期の去勢手術を行うことが多いです。
主な症状
精巣の肥大、脱毛、乳頭の腫脹が認められる場合があり、骨髄抑制による貧血が認められる場合があります。
診断
触診により精巣の肥大を確認し、病変部の針生検を行います。
また、腹腔内の精巣腫瘍の場合はエコー検査やCT検査で腹腔内の腫瘍化した精巣を確認します。
治療
基本的には外科的治療を行います。腫瘍の種類により、抗癌剤などを術後に併用する場合もあります。
症例
当院で手術した腹腔内の精巣腫瘍の一例です。腫瘍が腹腔内で自壊し、腹腔内で出血していました。
下記写真の左が同時に摘出した陰嚢内の正常な精巣で、右が腹腔内の腫瘍化した精巣です。